編集者のくいしんです。

昨年11月に独立し、アシスタント募集を2度、そして6月末に、編集ブティック「QED」としてチームメンバーを募集しました。

これらの募集をする中でたくさん人に会いました。アシスタントという名目でも募集をしていた関係で、学生さんや「まだまだ駆け出しの若手ライターさん」にもたくさんお会いして、話を聞く時間をいただきました。

スキルや本業の都合などいろいろな面を考慮して、今現在は数人の方にお仕事をお願いしています。

そんな中で正直に言うと、「この方にはどういう仕事をお願いしたらいいのかわからないなあ」「まだちょっと時期尚早かな(もう少し修行を積んできてくれたらうれしいな)」と思う方もいました。

そういった方々に、編集とライティングでほぼすべての売上を立てて生活している人間として、お伝えできることがありそうだったので、生意気ではありますが「(ウェブを中心に活動する)ライターになるコツ」「これやれば食えるライターになれる!情報」をシェアできたらと思います。

「4つ」と題して書いていくのですが、大前提として(0)から。

(0)たくさん本や雑誌やウェブ記事を読もう。読んだだけ、書いて発表しよう

ぶっちゃけ、これができていれば、他は何もいりません。結局、「うまく書けない」という人は、圧倒的にいい文章に触れていないし、書いていない。本当にそれだけです。

いろいろと人に話を聞いて思うのは、「この人あんまり書いてないな……。そもそも本もあんまり読んでないな……」ということ。

僕は「好きだから」という理由で、本は(ぜんっぜん正確な数字はわからないけど)1000冊以上は読んでいると思います。編集者やライターとしては、少なくて、なんなら恥ずかしいくらいです。漫画はもっと正確な数字がわかりません。雑誌は、今も手元にあるだけで300冊以上、どれだけパラパラめくって文章を読んできたのかわかりません。

自信があるのは、ウェブ記事を読んでる数です。

僕が文章を書いて初めてお金をもらったのは出版社時代で、その頃は本当にひたすら雑誌の文章を読んでいました。

その後、ウェブの世界で仕事をするにあたって、朝から晩まで、ウェブメディアの特性を考えつつ、記事を読んでいました。2、3年、土日ずっとひたすらインターネットサーフィンをしていたと思います(今もあんまり変わんないか笑)。

その中で、特に「俺は、これだけの努力をしてきたんだ」なんて思うことはまったくありません。純粋に、興味があったからやっていました。

まず第一に、物量なんです。

そして、ここには向き不向きがあります。

僕は「月に2冊の本を読むのもしんどい」という人は、ライターを目指すべきではないと思います。

ウェブメディアに関わりたいなら、ディレクターやカメラマンになることをおすすめします。

大前提終わり。

「わたしは、書くことも読むことも、得意だぞ!」という方は、この先を読んでいただけましたら幸いです。

この4つやれば楽勝です!!!!

(1)noteを始めよう

まずはこれ。間違いないです。僕らウェブライターにとって、SNSやブログは生命線、いや、命そのものと言っても過言ではありません。

「SNSもブログもやっていません」では、「ウェブライターになる気がない」と思われてしまっても仕方がないでしょう。

ツイッターとFacebookはもちろん、noteを書きましょう。毎日発信しましょう。これだけで、他の方よりも一歩も二歩もリードできます。これができたら勝ちです。

今、QEDとして日々一緒に働いているたくよも、noteを書いていたことで、すぐに声をかけることができました。

ブログではなくて「note」というのは、単純にウェブの知識がなくてもとっつきやすく、コミュニティがすでにあることが大きいです。独自ドメインのブログで言うのもなんですが、ここは無人島です……。

(2)noteをバズらせよう

「たくさんの人に読んでもらって自分の名刺になる記事をつくろう」というお話です。

自分の場合で言えば、堀江貴文さんにブログを拾ってもらって、数十分で数千PVに届いたこともあるし、

当時ナタリーの代表だった大山卓也さんにナタリーについて書いたエントリを拾ってもらって、2万PVに届いたこともあります。

みんな、こういうことを経てきているんです……。時が経ったら言わないだけで……。「カッコつけないでまずは読まれるもの書けよ」という話なんです。読まれた、という事実は、紛れもなく、強い実績です。

ウェブにおいて、「たくさんの人に読んでもらえた」というのは、それだけで武器になります。逆に言うとウェブにおいてのバズ経験がないことで、突き抜けられないという感覚を持っている現役ライターさんは、かなり多い印象です。

***

もしブログやnoteを3年毎日書いて、それでも誰にも見向きもされなかったら?

これはもう、才能がないのでやめたほうがよいと思います。

「ライターではない何か別の職業」を目指しましょう。

(3)ツイッターで記事をシェアして顔を覚えてもらおう

先にご紹介したたくよの前に、ひとりアシスタントがいました。もりぞーさんです。

当時大学4年生で、現在はウェブコンテンツをつくる会社で働いています。彼がアシスタントに応募してくれたとき、たしかまだ一度も顔を合わせたことはなかったのですが、僕の関わっているメディアの記事をよくシェアしてくれていたので、存在は知っていました。

応募の時点で「あっ、この方かあ」ってなるわけです。これって、すごいことじゃないですか? インターネットがなかった時代、そうそうこういうことにはならなかったのではないでしょうか。

フリーライターのアシスタントだったらまあそういうこともあるやろな、って思う方もいるかもしれませんが、大きな企業や組織でも、担当者はシェアコメントを見てくれていることは間違いないので、営業手法としても有効です。

これが「個人の時代」ということです。大学名や所属名ではなく、「この人、個人のことを知っているから(という認知を経た上で)お仕事をお願いする」ということが、実際に、いろんなところで起きています。そして、ウェブライターはそれがとても有効に機能しています。

(4)友人・知人に取材した記事をつくろう

今回は「ライターを志している方へ」なので、一番大切なのはこの(4)です。

若手ライターさんに話を聞いて感じたことのひとつが「自分の名刺となるような記事をつくるのは、難しいんだなあ」ということです。

でも僕の中で答えはあります

「自分でつくろう」

です。

noteで、「わたしがこういう記事を書けば、この人にこういう切り口で話を聞けたら、絶対におもしろいはず!」という記事を書けば、すべて解決します。

 

Q:周りにおもしろい人がいないのですが……。

A:その感性ではライターになるのは難しいと思います。他のことをやりましょう。

 

周りに「何かやっている人」や「お店をやっている人」で話を聞ける人がいないというのはその時点でちょっと致命的な気もしますが、だとしたら、

たとえば、友人に「あなたのことを教えてください」と聞いてもいいし、親に「わたしが生まれたとき、どんなことを感じたの?」と聞いて、記事にしてみてもいいかもしれません(後者めちゃくちゃおもしろいなあ。誰かぜひやってください笑)。やりようはいくらでもあると思います。

大切な人に話を聞いて、いくつか記事をつくってみて、それが誰にも届かないのだとしたら、センスがないと思います。ライターを志すのはやめたほうがよいでしょう。

さいごに

これはライターに限らずどんな職業に対しても思うことなのですが、センスがないならやめたほうがいいです。向いていることに時間を使ったほうが、人生を有意義に過ごせます。

「センス……生まれつきの才能ってことですか?」と聞かれれば、僕は「ノー」と答えます。センスは自らで、いくらでも磨くことができるものです。

ライターの場合は、自らセンスを磨くことのハードルが、めちゃくちゃ低いんです。繰り返しになりますが、

「本や雑誌やウェブの記事をひたすら読むこと」

「それらをもとに、書くこと」

本当にこれだけです。

ウェブメディアはほとんどの場合無料だし、図書館はどこにでもあるので、無料で本も読めます

ライターは、小学校から作文をしている日本の人にとって、誰でも目指せる商売。上に書いた通り、インターネットやSNSがある今であれば、それはなおさらです。

厳しい書き方もしましたが、これを読んで、駆け出しの若手ライターさんやライターになろうという方のきっかけになれたら幸いです。

「くいしんさんのnoteを読んで、これ書いてみました!」という方がもしいたら、ぜひ教えてください。

読んでくれた方のご武運を、お祈り申し上げます。