桐谷ヨウ『仕事ができて、小金もある。でも、恋愛だけは土俵にすら上がれてないんだ、私は。』 を読んで。

公開日: : 最終更新日:2016/08/28


僕はそこそこモテるのでいわゆる「恋愛本」は読んだことがない。たぶん、この先もほとんど読まない。なんなら自己啓発本もほとんど読んだことがない。何度か読んでいるのは、話題なので文脈をキャッチアップしたいから、という程度の思い入れしかない。どうも、くいしん(@Quishin)です。

桐谷ヨウさん(旧ファーレンハイトさん)とは、昨年から何度か飲みに連れていってもらっている仲で、ツイキャスも一緒にやってる(3月5日の土曜もやります!)。

参照:【対談】ファーレンハイト×鳥井弘文 2015ブロガーズフェスティバル大反省会! 聞き手:くいしん

参照:【告知】12月26日(土)20時〜 ファーレンハイト×くいしん×鳥井 第2回ツイキャス対談やります!

いくつか書評・ブログエントリを読んだところ、「本質的な他人との向き合い方を教えてくれる」という、つまり、恋愛というフィルターを通したコミュニケーション論の本、という感想が多かった感じがしてる。もちろん、凄く納得なんだけど、納得した上で言うと、恋愛本は多かれ少なかれそういった要素を持っているんじゃないかと思う。

「恋愛」とは他者とのコミュニケーションの一種なので、「仕事」や「家族関係」と同じように、少なくとも2016年の日本を生きてる僕たちにとっては、欠かせないものだ。その中でも比較的簡単に、誰でも遠ざけて生きていくことができるのが「恋愛」だ。

この本の本質、というと偉そうだけど、この本の「僕の読みたいポイント」はもっと別のところにある気がしてた。僕はどんなときも「これをつくった人は何を思い、何を伝えたいのか。どういう人間なのか」しか見ていない可笑しなヤツなのである。

この本の文体は、薄暗いバーで笑いながら語りかけているようでありながら、同時に、大きな企業の大きな会議室で知的かつロジカルに展開されるプレゼンテーションのようでもある。扇動的かつ上から目線で偉そうに、だけど堅苦しくも暑苦しくもなく、いつもそばにいた友人かのように語りかけてくる。

この絶妙な読者との距離感の先にあるのは、筆者の、他者への興味を尽かさない、底知れない人間愛だ。「読者を心の底から信頼する」ことができなければ、こういった文体は選ぶことができないからだ。ヨウさんは、恋愛というツールを使ってみんなが人生を楽しむことで、世の中がもっとよくなることをよく知っている。

この方は、自身に対する「モテ」すら「チヤホヤされたい」とか「承認欲求が満たされて気持ちいい」みたいな気持ちは全然ない。それは本著を読んでもらえればわかる。そこに「酔い」は、一切ない。もう少し言えば「自分がどうしたいか」という想いが欠落してる。

じゃあ何があるのか? それは、ただただ「他人に行動を起こさせたい」ということだ。「俺に女を惚れさせる」ということすら、自分がどうこうではなくて、女の子に行動するよう呼びかけているに過ぎない。大げさに言えば「革命家」のような気質を持った人で、それはヨウさん自身が「アジテーター」を自称していたことからもよくわかる。

ヨウさんは、人が恋をしたとき、素直に走りだすことができない多くの男女に、走りだすきっかけを与えて世の中を動かそうとしている人なんだ。「みんなハッピーになれよ」ということだ。この本がこの文章を読んでいるあなたの大切な一冊になりますように。

追伸1
後輩の部屋に(後輩?)ガルシア・マルケスの本があって、それを「いいね!」と言ってくれるイケてるパイセン、あなたの周りにはいますか?

追伸2
そこに「自分がどうしたいか」という想いが欠落してる。

追伸3
追伸2の人が3人揃ったのがツイキャスメンバーなんだと思います。


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