日本のミュージシャンの詩集。音にのる前提でつくられた詩を、音無しで紙の上で読むとまた違った感覚が得られます。1曲として聴くのとは違う神経が刺激されるというか、違う感情が揺さぶられるように感じます。本日は7つ選んだものを簡単にご紹介いたします。
『志村正彦全詩集』
この一冊でこの記事を書こうと思った。志村が死んで、その喪失を埋める存在としてアルバムはもちろんだけど、この詩集もいいよなあ、と。これから挙げるものはセレクトされたものばかりだけど、志村に関してはそもそも発表された楽曲の母数が少ないこともあり、「全詩集」。この点も、一冊としての本の凄みを増すきっかけになっている。29歳で死んでしまったから、今の自分の年齢とほとんど変わらないという事実。もうずっと昔から志村の音楽を聴いているような感覚が今のある。
『チバユウスケ詩集 ビート』
ミッシェル・ガン・エレファント、ROSSO、The Birthdayのチバユウスケの詩集。1994年のデビュー時から2008年までの約15年の間に書かれた213曲の歌詞の内、自らがセレクトした125篇が収録されており、しかもそのうちの約半数には、詞に寄せた書き下ろしコメントが合わせて書かれている。1996年のデビューシングルが『世界の終わり』っていう。デビューシングルに付けるタイトルじゃねえだろと思いますが、そんな言葉選びのセンスが、詩集として読むとより一層ギリギリと心に刺さります。
『神聖かまってちゃん の子詩集 るーるるらーら』
神聖かまってちゃんのの子の詩集。2010年に『友だちを殺してまで。』がリリースされてたった3年後の2013年8月にこの詩集が発売されているので、の子の詞がどれだけインパクトがあって商品価値が高くて世の中に求められているものなのかということがよくわかる。
『象牙の塔――TOSHI-LOW詩集』
BRAHMAN、TOSHI-LOWの詩集。「圧倒的存在感」って簡単に使われがちな言葉だけど、今のTOSHI-LOWのライブでのパフォーマンスは本気のそれに当たると思う(ただ個人的には、2011年2012年くらいが一番凄かったんじゃないかと思うふしもある)。ここ数年のBRAHMANは見るたびに毎回神々しいライブをしている。
『エリーゼのために―忌野清志郎詩集』
頭の中に強烈にこびりついていて離れないKenKen(RIZE)のツイートを引用。清志郎の言葉じゃなくて金子マリの言葉ですが…。
今回の原発が起こった日にお袋(金子マリ)が『キヨシちゃん(忌野清志郎)が、だから俺は言ってたじゃねーかって悲しがってると思う』って言ってたのが一番記憶にのこってるな。こんな状況みたくないから先に向こうに行ったんだよね、キヨシローちゃん。
— 金子 賢輔 (@kenken_RIZE) 2011, 4月 6
『曽我部恵一詩集』
信じられない勢いで次ぎから次へと様々な名義で様々な音楽を取り込んでアルバムをリリースしてゆく曽我部恵一。バンド、サニーデイ・サービス、ソロ、曽我部恵一BANDと、垣根を越えて収録された自選詩集。正直に言うと、2011年4月のソロ作『PINK』をピークにして、ここ数年少し勢いがなくなってかたかも!?と思ってた時期も一瞬あったけど、よくよく考えてみたら2012年12月の曽我部恵一BAND『トーキョー・コーリング』、2013年11月のソロ『超越的漫画』と、むしろ凄みを増していた。ソロ新作も近々リリースされるとのことで楽しみ。
『風のバルコニー―松本隆詩集』
1981年にまとめられた松本隆詩集。何年前の話やねん、とツッコまれそうですが、はっぴいえんどもアグネス・チャンへの楽曲提供も70年代の話で、ウィキで改めて松本隆さんのキャリアみてたらすげえなあと唸りました。あ、“君に、胸キュン。”は83年だ。
いかがでしたでしょうか。詩集を買わずとも家のCDを取り出して歌詞カードと見詰め合うのもたまにはいいかもしれません。つうか、今の若い人って家にCDとかないのか。読んでくれた方ありがとうございました。