お笑いがモテる理由

吉本興業でお笑い芸人をやっていたんですけどね。当時は、よく「モテるでしょ?」とか言われましたね。実際、モテていたかどうかは別として、「芸人はモテる」というのが一般的な認識としてあったのは間違いないですよね。なんでこういう風に言われるようになったんだろう、と考えていたらその理由が書かれているおもしろい文章を見つけたので引用します。

 女のダブルスタンダードという言葉は言われて久しい。
(中略)
「仕事ができても、キレイじゃなきゃダメなんです、女子は!」(安野モヨコが『美人画報』創始に寄せた女子道マニフェスト)。
これも大変である。そのうえ、深いところで否定しきれない。
だけど今、「男のダブルスタンダード」が静かにひたひたと進行しているんじゃないだろうか?
男のダブルスタンダード。

男は、金を稼いで当たり前。そのうえで、関係能力も高くなくては。

相反する能力をいっしょに求められているのだ。
なぜなら、男が金を稼ぐ仕事とは、「一点突破」「専門特化」だから。男は仕事ができることが魅力的とされ、その仕事は、「特化している」ことが魅力である。
(中略)
そして、ダブルスタンダード時代が到来し、男子のハードルはまたまた高くなる……稼げて、関係能力も高い人がいちばんレートが高い、ということになるのだ。
というわけで、昨今最も急成長している男のモテ株は「お笑いタレント」である。
なんか、あまりにわかりやすい。
今、女優が結婚するといったらお笑いタレントなのはそういう意味があるのだろう。
ただ、お笑いタレントに個人的な慰安を求められるかという点に関しては、私には疑問が多い。漫画家などの世界で、ネタの行き詰まりから重度のノイローゼになったりしやすいのは、ストーリー作家よりギャグ作家だということがよく知られている。人を笑わせなければいけないという強迫は、とても苦しく人の神経を消耗させるものだ。お笑いタレントにも同意の苦しさはあると推察できる。ただ、お笑いタレントは場の盛り上げやまとめのうまさから司会業などに就くことも多い。その「関係調整能力」の高さが、現在、多くの女性にとって魅力的に映るのかもしれない。

『モテたい理由 男の受難・女の業』赤坂真理
第6章 男たちの受難 161~163頁

ほえー。男のダブルスタンダードかあ。「ただ、お笑いタレントに個人的な慰安を求められるかという点に関しては、私には疑問が多い」の件には感動するほど共感。というか、「個人的な慰安」はまず求められません。断言できる。とにかく、そこらへんにいないほどの変わり者が多いしね、芸人って。「一緒にいて楽しそう♪」「いつでも笑わせてくれそう!!」みたいな意見も多そうですが…そういう考えはどうかなあ。お笑い芸人ってほとんどがネクラなんですよ。慰安を求めているのは芸人側かもね。

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このエントリを元々アップしていた「パチンコをやらない人の生活」は僕が初めて開設したブログでした。2008年から2009年にかけていくつかの原稿をアップしていました。 http://d.hatena.ne.jp/t-ohkawa/