このたびの東北太平洋沖地震により
亡くなられた方々に、お悔やみ申し上げます。
また、被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
ひとりでも多くの方が、この困難を乗り越えられますよう、
お祈り申し上げます。
それとともに、一刻も早く、皆様のもとに、笑顔や喜びの感情が、
舞い戻られますよう、強く願います。
                     クイシンコム 一同

今日は、3月29日です。
クイシンコムは、秋の本オープンを前に、プレ・オープンを迎えます。

僕はクイシンコムを、凄く穏やかな空気で、始めてみようと思っていました。
このタイミングで、こんなに長い文章を書くつもりは、
正直、ありませんでした。
僕は、「ふわふわとした思い」が自分の中にあったとき、
まずは、人にそれを、「ふわふわしたまま」伝えたいと思っていました。
ただ、今の日本は、あまり、ふわふわしていられる状況ではありません。
以下の文章はたぶん、あんまり、ふわふわしていません。

3月11日、14時46分。
その時から、日本の状況は大きく変わりました。
僕らの目の前にある日本という国に流れる空気は、
それ以前と、それ以後では、
まったく違うものになってしまった、
と、言っていいと思います。
日本中の人が、慣れないことで、苛立っています。
でも、それは、仕方がないことだとも思っています。
だって、誰も、今のような事態を、経験したことがないのだから。
もちろん、「仕方がないこと」では、片付けられないようなことが、
たくさんあることも、わかっています。

僕らは、今まで通り、ただ生きることしかできません。
ただ生きることしかできないけれど、
それで十分だよ、とも言えると思います。
僕は、相変わらず、ただ生きながら、
ただウェブ・サイトを動かしたり、
ただ頭の中で思っていることを文章にしたり、
していこうと思っています。
だから、僕は、今また改めて、
「今、自分にできることをしよう」とは、
正直に言うと、あまり言いたくありません。
「自分にできることをしよう」と考えるのは、
生きて行く上での、前提のような気もします。
やはり、僕は、
「自分にしかできないことをしよう」と思っていたいみたいです。
これは、曽我部恵一さんの日記を読んで、思いました。
「自分にしかできないこと」が、
人生に、彩りを添えてくれるような気がしているんです。
もちろん、「今、自分にできること」は、するべきだとも、思います。
僕も、少額ながら、募金しました。

話は、クイシンコムへと戻ります。
ご覧の通り、「全然、できていません」。
でも、これで、いいんです。
これは、意図したものです。
今日は、あくまでも、プレ・オープンです。
これからクイシンコムがどうなってゆくのか、
楽しみにしてもらいたいし、想像してもらいたいんです。
何故なら、クイシンコムは、あなたの声によって作られるからです。

クイシンコムには、「仲間らしき」執筆者がいます。
どう言えばいいか、凄く難しいのですが、
仲間とも同志とも違うけれども、
少しだけ考えていることが重なり合った人たちが、
クイシンコムに文章を書いたり、
写真を載せたりしてくれる予定です。

僕は、クイシンコムを、
「サイトの運営者として」とか、
「経営者のような感覚で」とか、
そういうふうには考えていません。
ひとりの、表現者としてやりたいんです。
クイシンコムは、僕の、表現だと思っています。
僕の表現の、本丸のつもりでやっていきます。

ここでひとつ言っておきたいことは、
クイシンコムでは、なるべく、
いい悪いを、決めつけたくないんです。
僕が、いいとか悪いとか言うにしても、
それはひとつの切り口でしか、ないわけです。
善や悪は、見る角度によって、違うものだと思うんです。

たとえば。たとえばですよ。ある問題があって、それについて、
「推進」する人と、「反対」する人がいるんです。
でも、「賛成でも反対でもない」という角度でそれを見る人も、必ずいるんです。
僕は、実は、その角度が、大切なんじゃないかと思っています。
大事にしなくてはならない視点だと思っています。
この世の中は、1か2か、白か黒か、表か裏か、
だけで、できているわけではないからです。
もっと複雑で、曖昧に、絡み合って、成り立っています。

もう一度、311の話です。
今回の自然災害と原発事故は、
日本人、全員が、
今までとはまったく違った意識をもって、
取り組まなくてはならない問題だと思っています。
これは、ちなみに、ですが、
「地震や津波」と「原発のこと」は、
きっぱりと分けて考える必要があります。
これらは、それぞれ「天災」と「人災」であり、
まったく別のものだからです。

今までであれば、
たとえば、俳優が暴力騒動を起こした、
というような事件に対して、
多くの人がおもしろがって、群がっていました。
そんな、あまりにもくだらないことに対してです。
でも、それは、全員ではありません。
全日本人が、そうだったわけでは、ありません。

ただ、今回のことは、どんなに無関心のフリをしても、
僕ら、すべての日本人が、当事者です。
これから日本がどのようになるのか、
想像はつくけれど、予告することは、できません。
ただ、日本が、
「無駄に豊か過ぎる社会」から、
「豊かで穏やかな心をもった社会」に、
変わるときなのかもしれません。
悪意を振り回している暇は、ありません。

クイシンコムは、なるべく、
「いい方向に、もっていく」ことを、心がけます。
来たるべき、「楽しい日々」のために。

クイシンコム・オーナー くいしん