渋谷系が偉大である理由とアンダーグラウンド(またはコア層)を抑えなければ「潮流」はつくれないこと。

公開日: : 最終更新日:2016/08/28 編集, 音楽


複数の人に「『1998年の宇多田ヒカル』が面白いよ、読んだほうがいいよ」と言われ、ついに昔からの友人である女性編集者に「読んで!」と言われたので、買ってきました。どうも、くいしん(@Quishin)です。

偉大な文系(メディア人)が自分たちの都合のいいように歴史を書き換えていってしまう

見出しは著者が荻上チキさんのPodcastで言ってた言葉です。

腑に落ちまくったのが、「過大評価されている渋谷系」というくだり。90年代から20年経った2010年代である現在でも、メディアでは渋谷系が再評価されるばかりで、宇多田ヒカル・椎名林檎・aiko・浜崎あゆみが語られることはない、というお話。

そして、「本質的にはアンダーグラウンドのムーブメントだった」というのが著者が書く渋谷系です。

これにはかなり深く同意し、唸りました。90年代の絶頂期でも、渋谷系は、宇多田ヒカルや浜崎あゆみの1/10程度のセールスしかなかった。

でも、

2010年代に「90年代の音楽」というと、カルチャー誌を始めとしたメディアでは、渋谷系ばかりが絶賛される。

で、僕が今日このエントリで言いたいのは、逆に言うと、ここを抑えれば10年20年が経っても、ムーブメントを文化として残し続けることができるんじゃないかというお話です。

もう少し僕ら世代にとってもわかりやすいたとえを出します。

たとえば、映画『モテキ』では98年にメジャーデビューしたくるりのデビューシングル曲である「東京」が重要なシーンで使用され、B’zは「カルチャーを追ってなくて『進撃の巨人』も知らない女がカラオケで歌ってる曲」として扱われるわけです。

もちろん、これはB’zがいい悪いという話ではないのですが、少なくとも『モテキ』の主人公は、カラオケでB’zを歌う女性をそうやって扱うわけです。そして事実として、2016年現在も映画業界の最前線で戦っている大根仁監督は、そういう世界を描いたということです。

あくまで一例ですが上記を踏まえると、10年後20年後には、くるりは音楽好きの間で語り継がれ聴き続けられ、その影響を受けた若いミュージシャンやバンドがたくさん出てくるのに対して、B’zはあまり聴かれることはない、なんてこともあるかもしれません。

セールス的な数字ではなく、「刺さった深度と総量」によって、歴史に名前がどうやって残っていくか、決まるんじゃないだろうかというお話です。

僕がたびたび話す「バンプオブチキンはコアな音楽ファンにまずその存在を知らしめた上で、マス層へのプロモーションを進めていった」という逸話も同じことだと感じてます。

参照:インターネットに対する根源的にいやなこと #HyperlinkChallenge2015 #孫まで届け

映画監督や雑誌編集者といったメディア人が歴史を綴る

このお話も引き続きPodcastで出てきた話なんですが、歴史とは、そのあとどうやって書かれるか、どこの文脈をどれだけどうやって掬い取るか、によってまったく違ったものになります。で、その「歴史を綴る・書く」のは現代ではメディア人なんです。

いい大学を出て「メディア人」になるほとんどの人は、メディアのことをやはりよく知っていて、つまり「コアなファン」であることが圧倒的に多いということなんですね。だから先に挙げた例で言えば、B’zではなくて、くるりのように音楽をつくったほうが歴史に名を残し続けることができるんじゃないか、と考えられる。

その上で、自分がつくりたいものは、どういったものなのかというのを改めて考えてみたいなあと思った次第です。

どうも、くいしん(@Quishin)でした! 最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました!


関連記事

日本のミュージシャンの詩集まとめ7選【邦楽】

こんにちは。 大川です。 日本のミュージシャンの詩集。音にのる前提でつくられた詩を、音無しで

記事を読む

FINLANDS(@Finlands12)の初ワンマンを観に行った。

FINLANDS(@Finlands12)の初ワンマンを観に行った。 ライターとして最近大活躍

記事を読む

2015年の聴いて欲しい日本のポップ・ミュージック10曲

知らない曲には「聴いてみて!」、知っている曲には「これ読んだ上でもう一回聴いてみて!」な気分で書いて

記事を読む

no image

「歓喜」とは何か。まだ観てない人は人生損している歓喜の動画3つ

「歓喜! 歓喜!」と言っていた時期がありまして具体的には3年前くらい、震災がある少し前くらいのと

記事を読む

no image

横山健が語る、これからのレーベル運営術「そもそもレコード会社なんてのは隙間産業なんだ」が面白かった話。

横山健が語る、これからのレーベル運営術「そもそもレコード会社なんてのは隙間産業なんだ」 http:

記事を読む

日本における音楽批評Webメディアはどういったものを作ればいいか。

日本を代表する音楽批評雑誌であるロッキング・オンに対して思ったことをツイートしたらたくさんの方が見て

記事を読む

no image

茅ヶ崎出身!サザンの桑田佳祐が選ぶ2013年邦楽ベスト20

桑田さんがラジオで発表した「2013年邦楽ベスト20」を見つけたので、いまさらですが、昨年を振り返っ

記事を読む

no image

『PINK』曽我部恵一 – すべての人が春を待つ2011年の夏

暑くてやってられないっすね。こんなに暑くて、梅雨も終わり、もはや夏本番だというのに、こういう春のアル

記事を読む

Suchmos(サチモス)はなぜ文科系インテリ女子を魅了するのか。

サチモスについて、ちょこちょこツイートしてます。むちゃくちゃカッコいいバンドです。もちろん、その演奏

記事を読む

no image

【MV】異国情緒の果て、ここはどこの国?“Rather Be (feat. Jess Glynne)”Clean Bandit

日本のエキゾチズムを国味わう映像として、これほど最適なものはない。 もっと詳しく知りた

記事を読む

  • inkyodanshi21_hyoushi
PAGE TOP ↑